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支援先インタビュー
株式会社イノカ
代表取締役CEO 高倉葉太さん、バックオフィス瓜生かおりさん
2025.10.28
海の自然環境を水槽に再現する「環境移送技術」を用いて自然を守るための研究開発や教育活動を推進する株式会社イノカは、2019年4月に創業し、2022年1月よりリバネスキャピタルの支援を受けている。同社代表の高倉さんとバックオフィスを担当する瓜生さんに、創業期ベンチャーならではのバックオフィスの課題と支援の実際を伺った。
―リバネスキャピタルに支援を依頼することになった経緯を教えてください。
高倉:創業から2年半が過ぎた2021年秋、キャッシュフローの管理が適切にできていなかったために運転資金が尽きかけるという事態に陥りました。それまでは事業開発に多くのリソースを割き、バックオフィス体制の構築を後回しにしていたことが大きな原因です。その時にバックオフィスの重要性を本当に痛感し、業務全体の整備と適切なフロー構築を行うことを決めました。そこで、リバネスキャピタルに経理支援と労務支援をお願いすることにしました。
―当時はどんな状況だったのですか。
高倉:支援をお願いした当初は、適切にBS・PLを管理できていませんでした。会計ソフトは使っていましたが、入力できる内容の自由度の高さが裏目に出て、勘定科目や領収日を間違えて入力していたり、領収書の提出が遅れたりして、BS・PLに何かしらの矛盾が出ている状態でした。
また、リバネスキャピタルに依頼する前は、フルタイムで専任の人材を雇う余裕がなかったため、バックオフィスはパートさんにお願いしていました。僕たちは事業開発に注力して、バックオフィスはパートさんに任せる方式をとっていたんです。
ただ、今から考えれば当然なのですが、パートさんに創業メンバーと同じ熱量やコミットを求めることには無理があります。結果的に、長く続けてもらうことができず、そしてこれが最大の問題なのですが、パートさんが辞めるたびにバックオフィスの知識やノウハウがゼロに戻ってしまうということを繰り返していました。社内にノウハウが蓄積していかないことには、ずっと危機感があったのですが、2021年秋にそれがついに表面化してしまいました。
―実際に支援を受けてみた印象はいかがですか。
高倉:自分たち経営陣もバックオフィスへの感度を高めなければと思ったので、リバネスキャピタルに色々と教えてもらいながら、バックオフィスの整備とフロー構築を進めました。当時は、わからないことがあるとすぐにSlackなどで連絡していたので、かなりの頻度だったと思いますが、温かく対応してくださったことをよく覚えています。
また、「イノカにバックオフィスの正社員が入るまでしっかり支える」と言っていただき、バックオフィスの機能全般をすべて把握し、適切に維持してくれました。おかげでスムーズに内製化に移行できたと感じています。
―瓜生さんはイノカさん初のバックオフィス専任の正社員として、数か月のアルバイトを経て入社したそうですね。瓜生さんの入社に伴ってリバネスキャピタルのサポートも支援業務からコンサルティング業務に切り替わったと聞いていますが、実際入ってみてどうでしたか?
瓜生:実務を引き継ぎ、いざ実際の現場に入ってやってみると、やはり色々とわからないことが出てきました。例えば勘定科目でいうと、イノカには「水族購入費」のようなオリジナルの科目も多くて。ただ、そんな時にはすぐにリバネスキャピタルに「これってどう処理していましたか」と気軽に相談できる環境があったので、安心して業務に取り組むことができました。
―瓜生さんが入社して2年程経ちましたが、バックオフィスサイドから会社を見てきて感じるところはありますか?
瓜生:ありがたいことに、正社員も増えてきて、会社規模が大きくなってきました。これに伴って、いよいよ組織体制を整えていくことが課題になってきたかなというところですね。フロントや経営サイドとバックオフィスのすれ違いをいかに防ぐか、とか。
―フロントとバックオフィスの齟齬というのはどういったところで起こっているのですか?
瓜生:例えば、稟議申請ですね。バックオフィスの担当としては、金額、用途、勘定科目、関連プロジェクト名など、入力してほしい項目がいくつかあります。これらのデータをとりまとめて分析し、経営指標として用いていきたいという経営側の意図があるからです。なるべくフロントに負担にならないようにと思ってフォーマットを作っていますが、現場からは「提出の段階で確定していない項目があったりして難しい」という声もあります。今は、三方良しの仕組みをどう構築するかについて、リバネスキャピタルのサポートを受けながら検討しているところです。
―リバネスキャピタルの魅力はずばりどんなところにありますか?
高倉:問題に対して二人三脚で付き合ってくれるところですね。最初にバックオフィスの再構築を始動したときも、オフィスまで来て一緒に作業をしてくれました。
瓜生:実務内容からコミュニケーションまで、バックオフィスについて包括的に相談できるところ、そして、すぐそばにいてくれるところですね。とても心強いです。
―これから創業するベンチャーにバックオフィスに関連してアドバイスをするとすれば?
高倉:創業したばかりのときは、バックオフィスをどうしても後回しにしがちです。でも、バックオフィスが整うと全部うまくいくと思うくらい、実際には大事な機能です。バックオフィスを作ること自体が経営の半分を占めていると言っても過言ではありませんし、逆にバックオフィスが整っていないと組織としては先に進めなくなります。
創業当初の僕たちは、いわゆる「ベンチャーファイナンスの必読本」と呼ばれるものを読んで、ファイナンスの重要性については認識していました。しかし、バックオフィスの重要性については認識が足りておらず、「いざとなれば自分でどうにかできる」と甘く見ていました。しかし、実際には自分一人で全てをカバーすることはできません。ですから、特に社長に対しては「全てを自分一人ではできないと認めて仲間や外部のパートナーに頼ろう」と伝えたいです。
瓜生:確かに、バックオフィスはやることがとても多いですし、会社を設立した以上はずっと続けなければいけないものです。だからこそ、相談できる相手がすぐそばにいることは安心材料になります。そばにいてくれる人を探すことをお勧めしたいです。
―本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!
【株式会社イノカ概要】
2019年4月設立。“人類の選択肢を増やし、人も自然も栄える世界をつくる”というミッションを掲げ、海の自然環境を水槽に再現する「環境移送技術」を用いて、産官学と連携し、共に持続可能な豊かな地球を目指し、自然関連の新規事業創出を行っている。
https://corp.innoqua.jp/